大場さんはもう一つ、「NPOしんりん」も経営している。
ここが動物たちを用いた森の管理を行っている中心だ。
ぼく自身もこの団体の理事をしているが、最近ではここで放置されがちな森の管理も引き受けている。
世代が変わると森をどう管理したらいいかわからなくなるし、下手すると自分の森の場所すらつかめなくなる。
森の大問題は、森が価値を失ったせいで誰の所有かすらわからなくなっていることだ。
そこで国は、管理されない森の所有権を剥奪して、きちんと管理できるところに管理させる方針にした。
ところが問題なのは、その「管理」の内容がチップや燃料などの安い木材にすることが基本になっていて、
木を存分に役立てられる管理者が重視されていないことだ。
大場さんのところなら、木材を端から端まで使えるし、質の高いものから順に適材適所に使っていけるのだが、
量り売りみたいな雑な販売方法に任されてしまう。
戦後に財閥として解体された製紙業界が復活してしまうような話なのだ。