私の住んでいた岡山の古民家を解体してみたら、焼け焦げた柱が何本も出てきた。
100年近く前に建てられた住宅だから、おそらく明治の終わりか大正の始まり頃に建てられた家だったろう。
つい最近まで「山分け」の仕組みがあり、自宅の薪・焚き木を集めていい山の範囲が決まっていたそうだ。
古くからたたら製鉄に木材が使われ、もともと人間が住む前には火山の噴火口付近だったから山に養分が少ない。
山に木は少なく、アカマツが生える他には木材が不足していたのだろう。
それで燃え落ちた家屋からもらい受けた焦げた木材を柱に使っていたのだと推測できる。
戦後はマツタケの生産で有名な場所だったのも、養分の少ない土地だからアカマツが多かったのだろう。
今は人々がガスを使い、薪炭を取らなくなって森は回復してきている。
森の養分が増えると自然にアカマツは滅んでいき、今やっと雑木林のような森が増え始めているところだ。