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第23回 男なら天然住宅!~男ならスペックにこだわれ~

2.男ならスペックにこだわれ

男はなぜか自動車の馬力や最高速度、燃費や最大トルクといったデータにこだわる。そういう視点で住宅を見てほしい。有害化学物質や電磁波環境のスペック、断熱性や耐震性能なんかにこだわってほしいのだ。

「あの住宅はダメだね、形ばかりで健康や寿命が考えられてない、形だけだね!」なんて言ってほしいと思う。
あっ、そういえば代表の相根さんはカーマニアだった。こんな茶化した文章書くと怒るかもしれないな。…まっ、いいか。

カーマニアのせいかもしれないが、最初に会ったときからこだわりのマニアだった。ぼく自身もマニアックなオタクを自認するが、ぼくの生半可で専門的な質問に、ひとつひとつ的確に答えてくれた。ぼくが聞いたのは「ヒートブリッジ問題はどう対策してますか」とか、「各部分の寿命の違いはどうしていますか」といった話だった。そうしたマニアックな質問に、嬉々として答えたがるのが相根さんの良さなのだ。
「基礎コンクリートの水セメント比はどのくらいですか」とぼくが聞いたときに、相根さんは「50%以下で打ってます」なんて嬉しそうに答えていた。水を多く含んだいわゆる「シャブコン」では、寿命が著しく短くなるのだ。通常は60~65%の水を入れてセメントを打つが、そうすると寿命は50年程度しかなくなる。ところが50%だと、コンクリートは300年は持つようになるのだ。『よくぞ聞いてくれた』的なムード漂う返答だった。

「木材はどこから仕入れて、どんな森の管理をしてますか」なんて聞いたときには、相根さんは喜びのあまり卒倒しそうなムードだった(冗談)。森へのこだわりも大きく、木材を最も強く長く使える乾燥方法を施し、適材適所に使って森を再生できる支払いをしようというのが相根さんの考えだったからだ。それはぼくも同じだから、ここで強く抱きしめあって(冗談)、一緒に天然住宅をやろうと合意したわけだ(こっちはホント)。
天然住宅設立当初の相根と田中優
天然住宅設立当初の田中優と相根昭典。髪が黒い。
「オレの乗ってる××なんか、ハンドルカバーもダッシュボードも本革製でハンドメイドだぜ」なんて言うみたいに、「オレんちなんか、くんえん乾燥で低温乾燥させた無垢材で、宮大工と並ぶ船大工の気仙大工にお願いして刻んでもらったハンドメイドだぜ」なんて話ができたらいいなぁと思うのだ。

「(ふん)オレんちの土台はシロアリに圧倒的に強いヒノキ材・ヒバ材を使ってるよ(オオーという歓声)」
「(まだまだ甘いな)オレんちの壁は正倉院と同じ板倉造りにしてるぜ。入れてる断熱材は天然ウールの1985年ものだぜ(この年代は意味ありません)」

こんなふうに酒の肴にできる時代が来たら面白いと思うのだ。さらに「木材乾燥炉を作るんだったら、低温で精油分を残して木材を暴れ(曲がり、歪みのこと)させない方法があるんだぜ」なんて話せたら面白い。

うーん、だけど鬱陶しいな。ここまでマニアにならなくていいから、少なくとも必要条件は理解してほしいと思うのだ。「羊の皮を被ったオオカミ」とか、「名ばかりのGTは道を開けろ」なんて名台詞(?)がカーマニア界にはあったけど、調べれば調べるほど熱くなれる住宅が、天然住宅だと思うのだ。
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