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第31回 電力自由化でどこを選べばいいの?

電力自由化でどこを選べばいいの?

 なんでもぼくに聞けばいいと思っているフシもあるが、スタッフからどこの電力会社がいいのと聞かれた。原発を持つ東電の電気だけは買いたくない と。ところが天然住宅に関わっているだけあって、おそろしく電気消費量が少ない。普通に考えたら暮らせないレベルだが、本人曰く家には冷蔵庫もエ アコンもあるそうだ。うんうん、ぼくの講座をちゃんと聞いているおかげだなと思ったが、そうでもないらしい。
電力自由化
画像:電力比較サイト「エネチェンジ」より

新規参入電力会社

 おかげで調べてみた。携帯電話各社はすべて東電の電気を使っていて、しかも携帯電話契約と同じ悪名高き「二年縛り」がある。つまり途中で良い電力会社が見つかったので契約を変えようとすると、まだ契約期間が満了していないからと理不尽な違約金をたんまり取られるということだ。その他の会社の契約も、今回料金が安くなるのは電気消費量がめちゃくちゃ多くて、電気「浪費者」と言えるような家庭だけなのだ。

 聞いてきたスタッフのような節電世帯の場合には、ちっとも安くならない。もともと電力料金の仕組みが節電を促すようにできていて、節電すると電気料金が安く済むように政策的に作られている。新たに参入する電力会社もそれ以下の値段にはできないのだ。

多様な選び方を

 それでもせっせと調べた結果、東燃ゼネラルの「myでんき」が一番安かった。東燃ゼネラルは石油・ガス会社の連合体で自前の発電所を持ってい る。おかげで味噌もクソも一緒になる「電力取引所」の電気は買わなくていい。おかげで安くできたようだ。でも地球温暖化の観点からはどうかと見て いくと、石炭の半分しか二酸化炭素を排出しない天然ガス発電を新設しようとしている。

 ふーむ、調べてみるもんだな。東京新聞の調べでは7割の人が脱原発を希望していて、58%の人が東電をやめたいと思っているそうだ。それなのに価格だけの競争にしてしまって、脱原発を言っていたはずの携帯電話会社が東電の別動隊になる。「ふーん、だからお父さんは犬なんだな」と思う。こ うして話がすり替えられていくのだ。
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