①現在の壁紙の上から安全な素材を施工する
床と同じく壁も既存のビニルクロスの上から施工することができます。
ビニルクロスとともに下地を撤去しても、
化学物質を発生する建材が壁の中にある可能性はあります(プライマーやウレタン断熱材等)。
それであれば、ある程度時間が経過し化学物質が揮発したビニルクロスを残し、
上から仕上げる方が相対的にみれば安全かもしれません。
ある程度の封止効果も見込めるかと思います。
それなので、既存の仕上げ(ビニルクロスなど)の上から、
塗り壁などの自然素材で仕上げをするという方法を選択することもあります。
②壁の下地も撤去し、やり直す
しかし、はじめの例のように、酢酸ビニルのにおいに身体が反応していると
特定できる場合や、そのにおい自体をなくしたいという場合は、
②の方法で施工するのが良いでしょう。
下地を撤去した場合、
下地の中は上の写真のように、カビが発生してしまっている場合もあります。
このような場合は、カビを拭き取り、
GLボンドもすべてはがし、木で下地を組んで石膏ボードを取り付け、
その上に仕上げをしていきます。
→施工の様子外壁側の壁については、
もし、断熱材が施工されていない場合は、新たに調湿性能の高い断熱材を充填していきます。
もし可能であれば、内壁下地部分に通気層を設け、壁の上下にスリットをつくり、
壁内の空気が循環するようにすることもあります。
また、すでに断熱材が吹き付けられている場合、
断熱材は「共用部分」ですので、勝手にはがすことはできません。
③既存の仕上げの上に、アルミ等で封止し、仕上げ直す
上記の場合とは逆に、体調不良の原因が特定はできていないが、
建材のどれかに反応して体調に影響が出ているという場合や、
壁の中を開けるのに抵抗があるという場合もあります。
GLボンドを施工する際に使うプライマーや、GLボンドもきれいにはがせるとは限りません。
壁の中で何が使われているかは、ご提案の段階で知る術はありません。
そういう場合、③のように揮発する化学物質を封止するという方法もあります。
既存のビニルクロスの仕上げてある壁に、
紙deサンドのような封止効果のある下地材を取り付けてから、
再度仕上げをするという方法です。
ただ、このとき完全に封止しようと考える場合は、
床、天井も同じようにアルミなど高密度な繊維で隙間なくふさがなければいけません。
そこまで完全な封止をするには高度な技術と、手間と時間を要するため、
施工費が高くつくと考えていただいた方が良いと思います。