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天然住宅の耐震性
みなさん、こんにちは。
日本では地震そのものを避けることは難しく、地震が起こることを前提とした、あらゆる対策が必要になります。
特に建築は、人間の命に直接関わります。
建築の始まりは、「人間を守る」という目的から始まっており、それは今も変わりません。
天然住宅では、耐震性に関して2つの軸を持っています。
ひとつは「技術面の工夫」、もうひとつは「木材の特性」です。
技術面の工夫
耐力壁を多く設ける
建物にある壁の中でも、地震に抵抗する壁のことを耐力壁と言います。
天然住宅では、筋交い(すじかい)という斜めの木材を使用して耐力壁としています。(写真下)
横から加わる地震の力に対して、つっかえ棒のように抵抗します。
この耐力壁を、建築基準法で決められている量よりも、最低でも1.25倍は多く設けています。
耐力壁をバランス良く設ける
耐力壁の量を増やすだけで良いわけではありません。
耐力壁は強い壁なので、地震時の負担も大きい。
負担の大きいところが建物のどこか一部分に偏ってしまうと、建物がねじれてしまいます。
建物の重心(平面形状の中心)と剛心(地震に抵抗する力の中心)をなるべく近くすることを心がけています。
耐力壁と柱の上下階位置をなるべく揃える
建物に加わる地震の力は、最終的には地盤に伝わるように設計します。
つまり、2階に加わる地震の力は、1階を通して、きちんと地盤に伝えてあげないといけません。
その際、耐力壁や柱の位置が1階と2階で揃っていると、効率よく力を伝えることができます。
どれくらいの耐力壁や柱が同じ位置にあるか、その割合を表した数値を直下率と言います。
直下率60%以上が望ましいと言われていますが、天然住宅では80%以上の建物がほとんどです。
▲長ほぞ込み栓
▲筋交い
木材の特性
高温乾燥材は使わない
木材は乾燥させてから構造材として使用します。
高温乾燥した木材の表面は割れも少なくきれいに見えますが、木が持っている精油分は失われ、細胞は壊れてしまいます。
細胞が壊れてしまった木材は、内部に割れを起こし、もろくなってしまいます。
天然住宅では、木が本来持っている粘り強さを活かすため、高温乾燥ではなく低温乾燥や天日乾燥した木材を使用します。
粘り強さを活かした仕口・継手
木材の加工は、機械加工(プレカット)が一般的ですが、天然住宅では手刻み加工された木材を使用しています。
大工さんがひとつひとつ加工していきます。
柱と梁が接合される仕口は、長ほぞ込み栓。(写真上)
梁と梁が接合される継手は、追掛大栓継ぎ(おっかけだいせんつぎ)または金輪継ぎ(かなわつぎ)。(写真最上部)
木と木がしっかりかみ合い、粘り強く抵抗します。
無垢材だけで耐震等級を
耐震等級2や耐震等級3の取得には、必要な床倍率を確保することが条件のひとつになります。
床倍率とは床の強さを表す数値であり、床倍率が大きいとされているのは合板を使用した床です。
無垢材は計算上、どうしても不利になってしまいます。
天然住宅では、無垢材だけで耐震等級を取得できるように検討しています。
30mmの無垢の杉板を張るなど、すでに床を強くする工夫はしています。
それが計算に乗せられるように、実験データを用いたり、必要であれば新たに実験をすることも考えています。
丁寧に設計し、丁寧に建てる
いくらいい材料を使っても、きちんと設計しなければ意味がありません。
いくらきちんと設計して図面を描いても、きちんと建てられなければ意味がありません。
丁寧に設計し、丁寧に建てる。
これが耐震の大前提だということは、忘れずにいなければなりません。
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