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「はげ山」を健やかな森に戻すのは大変だ

植林の様子

今回のくりこまイベントでも植林と皮むき間伐をしました。

天然住宅の森のパートナー、NPOしんりんが買い取った260haの敷地には健やかな森と、討伐され、「はげ山」になってしまっている場所があります。

今回も皮むき間伐は健やかな森の中で、植林は討伐され「はげ山」になっている場所で行いました。

同じ日に、同じように沢沿いの斜面でそれぞれの作業を行いましたが、それぞれの環境の違いに驚きます。


皮むき間伐の作業をした森は健やかな森の中です。

建築材としての利用に適さない木を見極めて間引き、建築材として育て続ける木をより元気にするための作業です。沢沿いの斜面でしたが、足元がぬかるんで困ることはありませんでした。

健やかな森の中では、降った雨が、地中に深く伸びた木の根っこや、微生物の活動によってふかふかになった土の間隙を通って、地中に浸み込んでいきます。大雨が降っても地中に雨が染み込むので、斜面を流れ落ちる水や、沢の流れも穏やかです。


一方で、「はげ山」となっている斜面では、健やかな森に戻すために植林をしましたが、数日前に降った雨がところどころ、足元に溜まってぬかるんでいて、苗木を植えるのも一苦労。苗木が水に浸かって腐らないように植える場所も選びながらの作業となります。

「はげ山」では木の根っこが地中深くに張っていませんし、土が露出し、微生物が乾燥や直射日光に晒されて生きづらい環境なので土がふかふかにならず、雨が地中になかなか染み込みません。

雨が降ると地中に染み込むよりも地表を流れてしまう割合が高いでしょう。

このような環境では杉を育てて健やかな森に戻すのは大変ですし、それまでの間に大雨が降ると、土砂崩れが起きるリスクも高くなります。土砂崩れが起きてしまうとまた「はげ山」からの再スタートとなってしまいます。


この植林活動はもう何年も続けていますが、杉の苗木たちはなかなか思うように成長してくれていません。

苗木を植えた後、草に負けない背丈になるまでは下草苅りが重要な作業となります。

NPOしんりんでは下草苅りに牛を活用していますが、斜面は雨で土が流されたりし、地形が変形しやすいなどの理由からでしょうか特に苦戦しているように思います。

このように一度「はげ山」になってしまった場所を健やかな森に戻すのは大変だと実感した一日でした。


 

植林も大変
陽の照る中での植林は重労働です。
右の斜面も討伐された後、育ちが悪い
右の斜面も討伐されたところ。植林し、下草
刈りしていますが、森に戻すのに苦労しています。

持続可能な林業を応援したい

現在の日本の林業では一定のエリアの木を一度に全て伐採してしまう皆伐や列状間伐が主流です。土砂崩れも起きやすくなりますし、伐採後の「はげ山」を森に戻すことは簡単ではありません。

木材としても選択して育てるという過程を経ないで伐採されるため、合板や集成材、バイオマスなど低価格での取引を前提として利用が多くなってしまいますし、高価な大型機械を使用するため高コストでもあります。

環境面だけでなく、経済面でも持続可能な方法ではありません。


森林所有者が所有している森に対してこだわりや想いを持っていないと、今敷地にあるものをとりあえず現金化してしまいたいとなってしまい、「はげ山林業」が有力な選択肢となってしまいます。

今のご時世、50年先100年先に自分の所有林を引き継ぐ人を想像するのは簡単ではありません。

それでも50年先、100年先に想いを引き継いでくれる人へ託す意思を持って、森を育てながら伐る林業を営むくりこまを応援し続けたいと改めて思いました。

 

皆伐航空写真(Googlemap2019から)
Googlemapで見た皆伐地の様子。大きな重機の入る搬出用の道を作って、一面はげ山にしてしまいます。

くりこまの健やかな森の様子
くりこまの健やかな森の様子。

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5月に開催したくりこまツアーの参加者、Detox Of Life合同会社の石澤さんが千葉の無垢杉でサーフボードをDIYできる企画を立ち上げました。



牡蠣漁師さんが海を守るために森に入るという話、「森は海の恋人」は教科書に載りましたが、
「サーファーが森に入り、海を守る」も2,3年後には教科書に載るんじゃないかと期待しています。

石澤さんはくりこまツアーでお話したときも既に企画を進めていて熱心に動いたり、話を聞いて回っていました。
もっと森のことを見に来たかったと、長い髪をたなびかせて語っていた様子がとても印象的でした。


皆様ご存知と思いますが、日本には荒れた人工林がそこかしこにあります。
せっかく再生可能な資源である木が山のようにあるのに、活用されずに放置されてしまっています。
その放置された人工林が下流の川や海の環境にも悪影響を及ぼし、かつ水害や土砂災害の一因にもなっています。

その人工林と向き合い、森を、木を生かそうと挑戦しているのが、くりこまの一味と我々天然住宅です。
詳しい話は下記のブログに譲りますが、くりこまツアーでは、その挑戦の現場を見て、奮闘している人たちに話を聞くことができます。


私たちと一緒に森に入り、感じ、話を聞き、学びませんか?
くりこまツアーは一見すると子供向けのように見えますが、大人の好奇心にもお応えできる内容を用意しています。

増本
皮むき間伐
製材

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バースハーモニー美しが丘助産院にて暮らし+リンクセミナーを開催してから早2ヶ月と半。
今さらという気もしますが、とても面白いお話しでしたので、長々と報告したいと思います。

■齋藤先生と天然住宅のご縁

助産師の齊藤先生は多くのお客様の自宅出産を介助する中で、たまに、とてもスムーズに、つるっと産む方がいることに気づいていました。
その方たちの共通点はなんと、なんと、なんと、

「天然住宅」の家に住んでいることだったそうです!!

有害物質の少ないリラックスできる家で生活していることと、
普段から健康に気遣い、お産に向けた体の準備が整っている方が多いことが要因ではと推測されています。

それからしばらくして、齊藤先生は天然住宅グループの設計事務所、AMBIEXが設計した築18年の中古物件と奇跡的な出会いを果たし、助産院の拠点を移されました。
今の場所で出産を介助するようになってから、期待通りお客様のお産がとてもスムーズになったそうです。
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▲AMBIEXが設計した築18年の中古物件、こちらが現在のバースハーモニー美しが丘助産院です。
■出産後すぐにへその緒を切らない

齊藤先生のこだわりの一つが出産後すぐにへその緒を切らないということ。
赤ちゃんにとってへその緒は命綱であり、それはお母さんのお腹から出てきてからもしばらくは同じ。
赤ちゃんがへその緒を頼っている状態から、自力で呼吸できる状態に切り替わるのを静かに待つそうです。
その頃にはへその緒が干からびるので、簡単にとれるそう。

一般的な出産では、へその緒はすぐに切ってしまいますが、なぜなのでしょうか。
すぐにへその緒を切ると、赤ちゃんの肺に急に熱い空気を送り込んでしまいます。それによって泣かせて、強制的に呼吸を開始させることになります。
人間は学ぶ動物ですから、お母さんのお腹の外での生活の始まりが暴力的なものになってしまってはまずいのでは、と疑問を呈されています。

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▲セミナーの光景。映像を使いながら、ていねいに説明していただきました。
■本来のお産のあり方

バースハーモニーで行われたお産の映像を見させていただきました。
一言でいうと美しかったです。
私の2人の子どもたちにも、人が持つ本来の力を引き出した、穏やかな出産をプレゼントしてあげられたらよかったなと思いました。
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▲個室の様子。ベッドも蓄熱式のとても気持ち良いベッドです。

■バースハーモニーで産むときれいになる?

齊藤先生はお産後の骨盤ケアにより、女性は産む前よりきれいになるとおっしゃっていました。
ほんとに?と思いますが、バースハーモニーで出産を経験された方が3名セミナーにいらっしゃっていましたが、お三方とも本当にきれいな方でした。セミナーのために集めたのでは?と疑ってしまいましたが実際のところはどうなんでしょうか。


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明けまして、おめでとうございます。
今年も皆様の豊かな暮らしづくりに貢献して参りたいと思います。
 
さて、ますもとクッキングの時間です。
正月に祖母の家で柚子をもらってきてポン酢を作りましたので、作り方をお伝えします。
 
手作りのポン酢は一度口にしたらハマります。
もらった柚子の扱いに困っている方、美味しいポン酢が欲しい方、是非挑戦してみてください。
 
【 材料 、備品】
醤油、みりん、昆布(、鰹節)、柚子
煮沸した容器、鍋、濾し器、包丁、まな板
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▲使った材料たち
【配合比率 】
目安は醤油5、果汁(+酢)5、みりん1~2

【 手順 】
①みりんと醤油で昆布の出汁(★とします。)を取ります。
通常の出汁をとる要領で、水を醤油とみりんに置き換えるだけです。

醤油とみりんに昆布をつけて半日~1日置いた後、極弱火にかけ、ゆっくりと加熱します。
沸騰直前に昆布を取り出し、1~2分沸騰させて火を止めます。
力強い出汁にしたい場合はここでクッキングペーパーなどに包んだ鰹節を浸し、3~5分程度で取り出します。
粗熱が取れるまでしばらく放置します。
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▲手順①で完成した★。粗熱をとります。
②柚子果汁を絞ります。
搾った後、濾し器かザルでで種を除きます。
柚子やレモンなら粒が大きいし、柔らかいので果汁を絞りやすいですが、以前かぼすでポン酢をつくったときは大変で手が痛くなりました。

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▲絞った柚子は多く見えますが…
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▲結局搾れた柚子果汁の量はこんなもんです。
③★と②で絞った柚子果汁を混ぜます。

ここで②で絞った果汁の少なさに唖然とします。
頑張って柚子を搾ったつもりですが、頑張りが足りなかったようです。
果汁の半分くらいのお酢を加えるのも鍋に合うようですが、今回は純粋な柚子ポン酢とすることにしました。
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▲結局ポン酢を保存する容器のサイズががらりと変わりました。
④冷蔵庫で寝かせます。
3日経つと味が落ち着きます。保存期限は半年程度です。 

ポン酢のレシピは私の発酵仲間の醸々、鈴野さんのレシピを参考にしました。
湘南で発酵の講座と料理教室を開催されています。
何でも美味しく仕上げてしまう料理上手な方です。

本年もどうぞよろしくお願いします。

増本

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11/3~5に毎年恒例の栗駒伐採ツアーに行って来ました。
天然住宅の家で使用している木材の故郷を訪ねるツアーです。
天然住宅にとって栗駒の地は、母体のアンビエックス時代も含めると20年以上の付き合いです。
今回も製材所見学、伐採体験、薪割り体験、スプーンづくりワークショップ、森案内、田中優セミナー、夜の宴会…と、とても内容の濃いプログラムでした。

■くりこまくんえんの製材所

天然住宅で使用する材木のほとんどは株式会社くりこまくんえんから直接仕入れています。
無理やり加工した工業製品としての木ではなく、植物としての木を使ってもらいたいという思いを持っている製材会社です。そして丸太を端から端まで大切に使いきる、薬剤を使わない、木の細胞を壊す高温乾燥をしないというこだわりを持っています。

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▼屋外で自然乾燥中の木材。
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住宅用に出荷を待っている、手刻み済みの建築材もありました。
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▼集材した丸太をバックに記念写真。
■スプーンづくりワークショップ

工房とみはりさんの協力のもと、スプーンづくりワークショップを開催しました。
ほうの木を削って作ったスプーン。手触りがよくて、マイはしならぬマイスプーンとして持ち歩きたくなるスプーンです。

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▼工房とみはりさんによるデモンストレーション。
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真ん中は天然住宅のスタッフの中田?が作成したもの。
■エコラの森での伐採

NPOしんりんが管理しているエコラの森は一般的な人工林とはまるで雰囲気が違います。
杉・ひのき以外にも広葉樹がたくさん残されているので、伐採しながら紅葉が楽しめました。

NPOしんりんでは現在の主流である、大型機械を活用した皆伐をしません。
大型機械を活用した林業は高コスト体質の林業となります。多くの森の所有者が機械を所有する森林組合に作業を依頼することになり、大した利益も得られず、かつ大量に伐採されて先祖代々受け継いが森が壊されてしまいがちです。

人が木を洗いざらい切る(皆伐)⇒特定の樹種の苗を植える(植林)⇒草刈りする(下草刈り)⇒間引きする(間伐)木を洗いざらい切る(皆伐)⇒…といった人が無理やり森をコントロールするサイクルから抜け出して、本来の植生を活かして、森が天然更新されるのを人が手助けし、その中で木の出荷もして林業者の生活を成り立たせることを目指しています。

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▼杉が混み合っているので、間伐します。広葉樹も少しずつ育ってきています。間伐が済むと、いよいよ建築材として使用する木を伐り出す択伐の段階がスタートします。
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▼春に皮むきして、立ち枯れさせた杉を鋸で伐採。
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▼チェンソーも使いました。
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▼この森では伐った木材を林道まで集める作業に馬が活躍しています。小回りが利いて、パワーもあるので、機械より効率よく作業します。
■薪割り体験

間伐材は薪にして、バイオマスエネルギーとして活用しています。
木こりさん達にとって、大きな収入源でもあります。

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▼斧を使った薪割り体験。みなさん、上手になりました。
■宿にて

初日の夜は田中優による天然住宅の取り組みに関するセミナーを、二日目の夜はNPOしんりんの木こりメンバーとのディスカッションを開催しました。
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▼エコラの森研修所の外観
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▼NPOしんりんの木こりメンバー
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▼ご飯も美味しかったです。優さんは勢いよくフライングしています。
私は念願の栗駒ツアー初参加でしたが、どんな人たちが、どういう思いをもって、どう森を育て、木を伐り出しているのか、加工しているのかを見ることができて本当によかったと思います。
天然住宅の森はこうでなきゃと思いつつ、現場の苦労や努力を知って、感謝の思いがつのりました。
家づくりを検討している人も、環境問題に興味がある人にもぜひ一度見に来てほしいと思います。
そして、参加者のバックグラウンドも多様でお話しして面白かったです。
次回は2018年5/25(金)~27(日)です。
ぜひとも今から予定をあけておいてください!

増本