先日、茨城にて計画中の物件についての打ち合わせをしてきました。
天然住宅では、山側にお金を落とせるように、刻みまでを山側で行ってもらい、
付加価値の高い木材にして、出してもらいます。
街の方ではまた別の大工がそれを建てていくことになります。
今回は、栗駒の木材を利用し、茨城の工務店さんがそれを建ててくれます。
「刻む大工と、建てる大工、お互い顔を合わせ、意思を通わせることで、
よりよい受け渡しができるのでは」と現地の工務店からの提案で、この打ち合わせを調整しました。
各産地での木材の違いや、現場の話、
様々な話をしましたが、お互い木材を手刻みする仕事をしてきた大工さんでしたので、
図板(ずいた)の描き方の話で、盛り上がりました。
図板というのは、大工が手刻みをするときに、
紙のCAD図からベニヤ板などに、
木取り(木の向きを見て、性格を把握)をしながら、
もう一度、構造の図面を書き直していく板のことです。
家づくりに関する色々な情報をそこに記していくそうで、最後には真っ黒になることもあるそう。
その書き方によって、大工の性格が出るのだそうです。
図板の図は、間違えたところは、削って、書き直したり、修正していきます。
削っていくことで、一度、間違ったところの履歴が残るので、
紙の(特にコンピューターで作成する)図面に比べて、注意喚起になってよいのだと言っていました。
「何度も削ったところは何かあるんだよ。」
「建ててみたら、あれ?ってこともある」と話していました。
手刻みの良さは、説明するのが難しいです。
言葉にすると、「経験」とか「勘」とか、そういう風にしか表現できないけど、
でもやっぱりこの手間を惜しまない方が良い気がします。
このような手間をかけた分だけ、
何かあったときに、力を発揮してくれたり、踏ん張ってくれるんじゃないかと、
大工さんたちの話を聞いて思いました。
そのような大工の思いが、木に宿るんだと思います。
その思いを直接手渡せるような場をつくれてよかったと思います。