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テーマ:スタッフの本棚

CHANGE
とても新しい本です。

建築家の谷尻誠さんが、建築の本ではなく、働き方の本を書いたというわけです。

メディアへの露出が多かったり、建築以外のことにも積極的に関わっていくため、チャラチャラしてるイメージを持たれているであろう谷尻さん。でもきっとそんなこと何も気にしてなく、楽しそうな谷尻さん。

ご自身の事務所で働くスタッフに、体にいい「オカン料理」を食べてもらいたいということで始めた社員食堂。執務スペースと地続きで社員食堂があり、普通に一般の方のためにも営業しています。店の名前もそのまま「社食堂」。

谷尻さんはここで「うっかりが起こる場所」をつくりたかったそうです。
自分ではコントロールできない出合いをしてもらえるように、設計事務所と食堂がひとつのフロアにあるだけでなく、写真を飾ったり、本を置いたりしている。

谷尻さんは、ちゃんと設計者・経営者としてのリスクを背負って、仕事として楽しいことをしている。
オンもオフもなく、頭も切り替えないそうです。
左手のあ
本の中にあったゲームを、私もやってみました。

「左手で描いた「あ」は人工的でありながら、自然現象でもある。」とのことで、描いてみたのです。
(写真左が左手の「あ」、写真右が右手の「あ」)

描いてみて思ったのは、なんかかわいい奴だな、と。愛着が湧いてきます。

なぜだろう?と考えてみて、思いました。右手の「あ」のおかげなんだな、と。いつもいてくれる右手の「あ」の安心感。完全に「俺の字」です。

そしたら、右手の「あ」もかわいくなりました。

人工的なものと自然現象的なものの関係性の中に、豊かさとか心地よさみたいなものってあるのかな。
それって、建築の仕事じゃん!とてもいい仕事だ!

そう思いました。
こうやって、いつもより少しだけ深く考えてみることは、楽しいです。

考えることって、楽しいことのはず。
働くって、楽しいことのはず。

谷尻さんは、これを教えてくれました。

読了後はなんとも清々しく、そして自由な気持ちに。なんか楽しいかも!と。

とても読みやすい本です。読書が苦手な方にもおすすめです。

テーマ:井上ブログ

天然住宅_三島市
 
こんにちは、スタッフの井上です。
 
静岡県三島市の建主Wさまのお宅を訪問しました。
土間のある平屋建ての家に、ご夫婦と2人のお子さまと住んでいるWさま。
敷地内には林があり、リビングからは山も望めます。
 
お茶タイムも、すいかを食べるのも、おもちゃを広げて遊ぶのもウッドデッキ。

到着早々、「よかったらウッドデッキで珈琲でも」とお誘いいただきました。
ウッドデッキは家族だけでなく、来訪者の憩いの場にもなっているようです。 
 
この景色を見て日々を重ねたら、自分の心はどんな風に育っていくだろう。
そんなことを思わずにはいられなくなるような、気持ちの良い眺めでした。

 
ウッドデッキ
 
Wさまが天然住宅を知ったの今からは6年前、奥さまが田中優の講演を聞いたのがきっかけです。

田中優自身が、岡山に天然住宅を建て、電気の自給生活をしています。

人に勧めるだけでなく、自ら実践していることが、信頼につながったのだそうです。
 
田中優講演会
▲2013年9月8日に開催された、田中優の講演会のチラシ。裏面にはびっしりと、その時のメモ書きが記されていました。
 
オフグリッドハウス
 
Wさまの家も電気を自給するオフグリッド生活を選びました。梅雨時期であっても電気が足りなくなることはなく、オフグリッド前と比べても、特に不便なく暮らしているそうです。
 
ちなみにガスはプロパン、水道はメインで使うものは市から引いていますが、外で使用する水は、周りの農家さんが共同で使っている山から引いた水を契約し使わせてもらっています。
 
災害時でも、電気、ガス、水道のインフラに困らないで暮らせることは、日常の安心感につながっているそうです。 
 
天然住宅_三島市
 
この日は、家の写真を撮らせていただくべく、営業の田中、そしてカメラマンと一緒に訪問しました。
お昼の時間にかかってしまったのですが、スパイスの効いた美味しいカレーを用意してくださっていました。
 
そこから、Wさまの「食の話」に話は移ります。
 
 
Wさまは普段、「生活クラブ生協」を利用されています。
出していただいた食事にも、生活クラブで購入した調味料が使われていました。
 

カメラマンの児玉さんも「おいしい!」と絶賛。後から調味料そのものを味見させていただいたほどです。 
実は他の建て主さまの中にも、生活クラブを利用されている方は多く、日頃から、食の安全を気にされたり、生産者を応援したいという思いを持ってらっしゃる方が多い印象です。
 
天然住宅_三島市
 
私はというと、興味はあるものの、なかなか申込みまで踏み込めずにいました。
かさばる発砲スチロール箱の置き場や、毎週ちゃんと注文できるかなど、「食」以外のところにハードルの高さを感じていたからです。
  
けれどWさまとお話して、「安全で美味しいものを食べたい(子どもに食べさせたい)」という純粋な動機を、もう一度大事にしたいと思いました。
 
帰宅後すぐに申込み、晴れて生活クラブユーザーとなったのでした。
 
 
自家製梅干し
 
Wさまには後日、ホームページに掲載する「お客様の声」に文章を寄せていただきました。
その中で印象的だった言葉があります。
 
 
「私たちもいくつかのメーカーや工務店の見学会、住宅展示場を家族で回り、自分たちがどういう家に住みたいのかについて沢山考え、悩みました。 最終的に自分たちは、私たち家族の健康を最優先に考えました」
 
 
 ご家族の大切にしていることが、食や住まいといった暮らしの選択に通じているなと感じました。 生活クラブを選ぶ気持ちも天然住宅を選ぶ気持ちも、どちらも「家族の健康」を願った際の、切実でいて希望のある選択なのだと思います。
 
そして、こんなことも書かれていました。
 
 
「見た目の豪華さや、コストパフォーマンスからは見えてこない、自然や森を守る思いにも賛同しています。自分たちが栗駒の木材を選んだことで、森を守るお手伝いが出来たこと、林業に携わり真面目に仕事をして下さる方に自分たちのお金を回せたことも嬉しいです」
 
木のおもちゃ
 
Wさまの家はとにかく明るく賑やかで楽しそうでした。
よく食べ、よく遊び、よく笑う子どもたちが、のびのびと健やかに育っている様子が印象的でした。

私たちも居心地が良くてずいぶんと長居し、そしてたくさん笑いました。とても楽しいひと時でした。
 
 
Wさま、素敵な暮らしを見せてくださりありがとうございました。
また薪ストーブが活躍する冬の時期にお誘いいただきましたので、今から訪問を楽しみにしています。
 

and more

Wさまの家の「実例写真」は「こちら」からご覧ください。
 
「お客様の声」は「こちら」からお読みください。
 

実例写真には収まりきらなかった写真をご紹介

天然住宅_三島市
室内ハンモック
天然住宅_三島市
天然住宅_三島市
天然住宅_三島市
玄関のしつらえ
天然住宅_三島市
国産薪ストーブ
ざる
絵本
ミサトっこ
木のおもちゃ
自然育児本
ミサトっこ
込み栓
歯ブラシ
田中優講演会
三島市_建主様

テーマ:田中ブログ

天然住宅地鎮祭@横浜
 
こんにちは、スタッフの田中です。
 
先日、横浜市にて地鎮祭を行いました。
地鎮祭は、神主様が執り行いますが、
四方祓、地鎮の儀(盛砂に忌鍬を入れる)、玉串拝礼など、
建主様にも協力してもらいました。
建主のF様とは、 数年間、一緒にお土地探しをさせていただきました。 悩んだ末に決められたこちらのお土地は、 ご家族にはとてもなじみのある場所で、 ご両親も気に入ってくれました。
 
工事はこれからですが、 ここまで来るのも、大変な道のりでした。 何カ所もお土地を見に行き、 お打ち合わせも重ねてきました。 お子様のことを考えて、 また、環境のことを考えて、 国産の木材で、健康な住宅を建てることを決められました。
思いをカタチにできるよう、 安全に、丁寧に、工事を進めていければと思います。
 
天然住宅地鎮祭@横浜
天然住宅地鎮祭@横浜
天然住宅地鎮祭@横浜
天然住宅地鎮祭@横浜
天然住宅地鎮祭@横浜
天然住宅地鎮祭@横浜
天然住宅地鎮祭@横浜
天然住宅地鎮祭@横浜
天然住宅地鎮祭@横浜

テーマ:スタッフの本棚

社員をサーフィンに行かせよう イヴォン・シュイナード
言わずと知れた名著であります。
有名企業の社長が著した「ビジネス書」として知られているのだろう、と思いながら読み始めました。

しかし、実際に読むと、後半の三分の一くらいが環境問題についてじゃないか!とびっくりしました。

確かに今思えば、タイトルには、その予感が漂っていました。

読書には、「後になったらその理由のわかる学び」がありますね。
それこそ本来の学びの姿、ダイナミズムなのではないか、と思います。

つまり、少しおしゃまな生徒A君がこんなことをよく言いますね。
「この授業に出て何になるというのですか?」と。
しかし、授業をうける前にはその理由は誰にも(先生にも)わからないのです。
その答えがわかるのは、授業を受けた後のA君だけなのです。

それが学びなのです。イメージとは逆ですね。
本は、「この情報が得られるから読む」のではなく、
「読んでどうなるかわからないけど、今よりいい状態になっている」予感がするから読むのです。

だから、授業を受ける前に意味ないからとサボるのはやめましょう。

・・・と、本と全然関係ないことを書いてしまいました。
でも、「知ってる感じ」で書いてあるレビューをみると、「け」と思ってしまうおしゃまな私は、
レビューではなく日記を書きたいと思っています。
読書にまつわるエトセトラを徒然なるままに。

さて、冒頭でびっくりしたままの私に話は戻りまして。

それだけ、自然を愛している著者を素晴らしい人だと思うのは当然ながら、
企業になれば、暗黙の了解として政治的な発言を避けたり、
反骨を露にすることを避ける傾向にあるけれども、
ちゃんと、言うべきことを言い、やるべきことをやって、
でも生き残っている。多くのファンをつくっている。
本当に稀有な会社ではないかと思います。

こういう会社を増やさないといけないと思います。
社会を持続可能なものに、良い方向に導ける可能性を、企業はもっていると思います。
私たちもこのような会社の一つになっていきたいと強く思います。

パタゴニアは、後続にとって、勇気をもらえる存在なのです。

テーマ:小野寺ブログ

金輪継ぎ

みなさん、こんにちは。

日本では地震そのものを避けることは難しく、地震が起こることを前提とした、あらゆる対策が必要になります。

特に建築は、人間の命に直接関わります。
建築の始まりは、「人間を守る」という目的から始まっており、それは今も変わりません。

天然住宅では、耐震性に関して2つの軸を持っています。
ひとつは「技術面の工夫」、もうひとつは「木材の特性」です。

技術面の工夫


建物にある壁の中でも、地震に抵抗する壁のことを耐力壁と言います。

天然住宅では、筋交い(すじかい)という斜めの木材を使用して耐力壁としています。(写真下)
横から加わる地震の力に対して、つっかえ棒のように抵抗します。

この耐力壁を、建築基準法で決められている量よりも、最低でも1.25倍は多く設けています。

耐力壁の量を増やすだけで良いわけではありません。

耐力壁は強い壁なので、地震時の負担も大きい。
負担の大きいところが建物のどこか一部分に偏ってしまうと、建物がねじれてしまいます。

建物の重心(平面形状の中心)と剛心(地震に抵抗する力の中心)をなるべく近くすることを心がけています。

建物に加わる地震の力は、最終的には地盤に伝わるように設計します。
つまり、2階に加わる地震の力は、1階を通して、きちんと地盤に伝えてあげないといけません。
その際、耐力壁や柱の位置が1階と2階で揃っていると、効率よく力を伝えることができます。

どれくらいの耐力壁や柱が同じ位置にあるか、その割合を表した数値を直下率と言います。
直下率60%以上が望ましいと言われていますが、天然住宅では80%以上の建物がほとんどです。
長ほぞ込み栓
▲長ほぞ込み栓
筋交い
▲筋交い

木材の特性


木材は乾燥させてから構造材として使用します。

高温乾燥した木材の表面は割れも少なくきれいに見えますが、木が持っている精油分は失われ、細胞は壊れてしまいます。
細胞が壊れてしまった木材は、内部に割れを起こし、もろくなってしまいます。

天然住宅では、木が本来持っている粘り強さを活かすため、高温乾燥ではなく低温乾燥や天日乾燥した木材を使用します。

木材の加工は、機械加工(プレカット)が一般的ですが、天然住宅では手刻み加工された木材を使用しています。
大工さんがひとつひとつ加工していきます。

柱と梁が接合される仕口は、長ほぞ込み栓。(写真上)
梁と梁が接合される継手は、追掛大栓継ぎ(おっかけだいせんつぎ)または金輪継ぎ(かなわつぎ)。(写真最上部)

木と木がしっかりかみ合い、粘り強く抵抗します。

無垢材だけで耐震等級を


耐震等級2や耐震等級3の取得には、必要な床倍率を確保することが条件のひとつになります。

床倍率とは床の強さを表す数値であり、床倍率が大きいとされているのは合板を使用した床です。
無垢材は計算上、どうしても不利になってしまいます。
 
天然住宅では、無垢材だけで耐震等級を取得できるように検討しています。
30mmの無垢の杉板を張るなど、すでに床を強くする工夫はしています。
それが計算に乗せられるように、実験データを用いたり、必要であれば新たに実験をすることも考えています。

丁寧に設計し、丁寧に建てる


いくらいい材料を使っても、きちんと設計しなければ意味がありません。
いくらきちんと設計して図面を描いても、きちんと建てられなければ意味がありません。

丁寧に設計し、丁寧に建てる。

これが耐震の大前提だということは、忘れずにいなければなりません。